恋にきく魔法

見習い魔法使い、現る

「へー、意外と綺麗じゃん」
「意外は余計だ意外は!」
ずかずかと何の遠慮もなく部屋に入ってきた頼斗。
こんの非常識男…
「…で?あんた一体何者なのっ」
「だから言ってんじゃん。芽衣の運命の王子様♪」
「……」
あたしがジロリと睨みつけると、軽く笑いながら言った。
「わかったわかった。ちゃんと説明するから怒るなって」
今度は真剣らしく、細身の体座り直す。

「さっきのでわかったと思うけど俺、見習いの魔法使いなんだ」
まぁ、空を飛ぶなんて一般の人間ならできないからね、納得。
「それで、今回のテスト。各見習いに指定された異性の人間を、自分に惚れさせること」
「はぁ?」
「最近、人を自分に惚れさせる魔法を習ったんだよ。それを今から芽衣にかける」
はい?それじゃあ、あたし今からこいつのこと好きになるってこと…?
いやぁぁぁぁあ!
「何その変な魔法!あたしの人生勝手に作らないでよっ」
「でもこの魔法の欠点。魔法をかけてから効果が出るまで一年もかかる」
そ、それってつまり…
「だから俺しばらく、お前ん家に居候するんだ。効果が出る一年後まで」
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