ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

2年になってから、2か月が過ぎた。
津田と話す機会は、日にちが過ぎるにつれて減っていった。

津田から話しかけてくれる事は、ほとんどなくて…
話してもちゃんと笑ってはくれない。困った顔で笑う。

そんな顔をしてしまう津田も辛いだろうし、俺も見るのは辛かった。

だったら話しかけなければいい…。

このまま、お互い意識せず忘れていけば…そう思っていた。




「じゃあ、チームを決めるんで、適当にバレーとテニスのグループに別れてください」

クラス委員の女子の声。

今はHRで、新入生歓迎を兼ねた、スポーツ大会のチーム分け。
そういえば、去年もあったような気がする。

「西藤ー。一緒にバレーやんねぇ?」

一人の男子が呼びにきた。

「あぁ」

別にどうでもいいから返事をして、そっちに移動する。
男子5人に女子が1人居た。

「マジで西藤くん呼んできてくれたんだぁ~♪サンキュー♪」
「…」
「間 メグミ。西藤くんよろしく~♪」
「よろしく」
「さっ…」

あまり興味はない。
まだ会話したげな彼女を放って、そこら辺の誰かの席に適当に座る。

と、目に入ったのは津田だった。

津田は、女子ばかりの集団の前に立っていた。

どこかのチームに入っている様子でもなくて…
何やら笑っている津田。
笑っていると言っても、楽しい時の笑顔ではない事くらい分かる。

もしかして。

席を立とうとした…が、やめる。

俺は何しようとしてるんだ?

そんなの自己満足で、津田にとっては残酷なだけかもしれないのに。

お互いあまり関わらないほうがいい…。

早く忘れて、

俺は麗奈を…

津田は他の誰かを…。



だけど…

津田をもう一度見る。


俺は席を立った。
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