ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「麗奈、そろそろ…」
自転車の速度を落とす。
学校はもう、目と鼻の先だ。
「うん」
麗奈は自転車を止めると、ゆっくりと降りる。…と、急に見つめられる。
「裕ちゃん…」
「何?」
「…っ何でもなーい。…あ!」
くるりと方向を変え、俺に背を向けた麗奈が言った。
「あれ…苺ちゃん?」
麗奈の目線を追うと、確かに津田は居た。
…例の1年生と一緒に。
「えっ♪何、苺ちゃんの隣の子!苺ちゃんの彼氏っ!?」
「…じゃ、ないと思う」
あの1年との関係を、津田は否定していた。
確かにあの男は津田の他にも、付きまとっている女子が居るみたいだったし、嘘ではないだろう。
その何人もの女子に、フラフラする態度が…ムカつくけど、俺には何も言えない。
「へぇ~。でも、お似合いじゃない?」
「そうか?」
「そうだよ!二人ともカワイイし♪」
もう一度、麗奈から津田に視線を向ける。
楽しそうに話をしている二人は、確かにお似合いで…。
何より津田は笑っていた。
俺には向けてくれない笑顔で-…。