ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「津田もチーム入れてやって」
「え?」
と、言ったのはあたし。
だって…目の前には男子が5人、女子1人…西藤くんとあたしを合わせて計8人…
これって…
「バレーっ!?」
あたしは隣の西藤くんを見て言った。
西藤くんは、すっとあたしの腕から手を離す。
ちょっと寂しい気がした。
「他に何かある?」
「…ないですけど…あたし、出来ないよっ!」
「何で?」
「だって…チビだし…」
「関係ねーよ。な?」
西藤くんは、男子に同意を求める。
「うん。津田さん面白そうだし、いいよー♪」
と、男子達。
“面白そう”この言葉は引っ掛かるけど、嫌な顔ひとつせず受け入れてくれたのは、本当に嬉しかった。
男子とあまり話した事なかったけど、何だか楽しそうだし、いい人達みたい。
「じゃあ…よろしくお願いします」
あたしはペコリと頭を下げる。
「女子一人だったから寂しかったんだぁ♪苺ちん、よろしく~♪」
そう言って女の子が、あたしの両手を握ってぶんぶん振り回した。
「えっ、あっ、よろしくっ!」
胸あたりくらいまでの髪を、内巻きに巻いた女の子。
確か、あたしが1年生に告られたと、西藤くんに言った子だった。
「えっと間さん…だよね?」
名前を恐る恐る呼んだ。初めて同じクラスになった人だから、名前を間違えている可能性もある。
「メグって呼んでぇ、苺ちん♪」
「う、うん」
チームを組んだ人達と話していると、すぐにチャイムは鳴った。
もう号令はかけないみたいで、みんなはお昼の準備をし始める。
そんな教室の様子を見て、西藤くんは教室から出て行った。
きっと…藤堂先輩の所に行くんだろう。
あたしも自分の机に戻ろうとした。
でも、あたしの足は西藤くんを追っていた。