ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「津田もチーム入れてやって」
「え?」

と、言ったのはあたし。
だって…目の前には男子が5人、女子1人…西藤くんとあたしを合わせて計8人…
これって…

「バレーっ!?」

あたしは隣の西藤くんを見て言った。

西藤くんは、すっとあたしの腕から手を離す。
ちょっと寂しい気がした。

「他に何かある?」
「…ないですけど…あたし、出来ないよっ!」
「何で?」
「だって…チビだし…」
「関係ねーよ。な?」

西藤くんは、男子に同意を求める。

「うん。津田さん面白そうだし、いいよー♪」

と、男子達。

“面白そう”この言葉は引っ掛かるけど、嫌な顔ひとつせず受け入れてくれたのは、本当に嬉しかった。

男子とあまり話した事なかったけど、何だか楽しそうだし、いい人達みたい。

「じゃあ…よろしくお願いします」

あたしはペコリと頭を下げる。

「女子一人だったから寂しかったんだぁ♪苺ちん、よろしく~♪」
そう言って女の子が、あたしの両手を握ってぶんぶん振り回した。
「えっ、あっ、よろしくっ!」

胸あたりくらいまでの髪を、内巻きに巻いた女の子。

確か、あたしが1年生に告られたと、西藤くんに言った子だった。

「えっと間さん…だよね?」

名前を恐る恐る呼んだ。初めて同じクラスになった人だから、名前を間違えている可能性もある。

「メグって呼んでぇ、苺ちん♪」
「う、うん」

チームを組んだ人達と話していると、すぐにチャイムは鳴った。

もう号令はかけないみたいで、みんなはお昼の準備をし始める。

そんな教室の様子を見て、西藤くんは教室から出て行った。
きっと…藤堂先輩の所に行くんだろう。

あたしも自分の机に戻ろうとした。



でも、あたしの足は西藤くんを追っていた。
< 102 / 494 >

この作品をシェア

pagetop