ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

スポーツ大会。

♪苺side♪


はぁ…どうしよう。
怖い…。

あたしの心臓は、いつもより少しだけ強く打つ。

この高鳴りは、恋とかそういう甘ったるいものではない。

「ねぇ…メグちゃん?」
「ん?」

隣に立った体操服のメグちゃんは、巻いた髪を後ろに纏めながら返事をする。

ただ今、体育が始まったばかり。
今日はスポーツ大会の練習。

「あのさ…男子とバレーとか、痛いよね?」

バレーボール…あの固いボールを男子がアタックしてきたら…

腕折れちゃうっ!!

死んじゃうっ!!

なんて、あたしは一人でパニックを起こしていた。

「え?苺ちん…」

ぼよんっ

「はうっ!?」

メグちゃんが言いかけた時、背中に何かが当たった。

ぼよん?

振り向くと、水色のゴムボールが転がっていて、その先には男子の足。

「痛かったか?」

転がったボールを拾って、笑ったのは…西藤くんだった。

「う、ううんっ!…ボールってそれ?」

あたしは、西藤くんの腕の中の、ボールを指差す。

「そっ!」

西藤くんはまた、あたしに向かってボールを投げた。

「えっ!あっ!!」

取ろうとした…けど、上手く取れずに跳ね返る。
それを今度は、メグちゃんが拾った。

「苺ちん、普通のバレーボールだと思ったのぉ?」

メグちゃんはレシーブとトスで、ボールを一人操る。

バレー部かと思うくらい上手い…。

「うんっ」
「大丈夫だよぉ、このボールだから♪ね、西藤くん♪」

メグちゃんが、西藤くんにボールをパスすると、

「そういう事!」

ボールを綺麗に受け取った。


「おーい!西藤達こっちー!」

同じチームの男子が、手招きして呼んでいる。
隣のクラスのチームも居て、練習試合を始めようとしていた。
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