ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「まぁいいや。じゃあ教えるから」
「うん」
「レシーブの時の手やって、まっすぐ伸ばして?」
「はい」
津田は言った通りにする。
「腕はそのままで膝使う」
俺が実際にやって見せると、。
「こ、こう?」
津田も俺の真似をする。
「そうそう」
「へぇー…でも、これどうやって右とか左に打つの?
「軽く腕傾けんの」
「うんうん」
「じゃあ俺が投げるから、打ってみて
俺はまた津田と距離を取って、ボールを投げた。
ぼよんっ
今度はちゃんとボールが返ってきた…けど
「ぷっ!」
「な、なんで笑うのぉ〜!?」
だって…
「津田…おかしいっ!」
打ちかたがぎこちなくて、腕こそ真っ直ぐにしているが、変なフォームだった。
「ひどい…ちゃんと出来たのに…。ん?そうだよ、西藤くん!あたし出来たっ!」
ぱあぁぁと、表情が明るくなる津田。
「良かったな」
「うんっ♪」
本当に表情がころころ変わる。
「西藤くん、やっぱり頭いいねっ!」
津田の言葉で、初めて会話したときの事を、ふと思い出した。
津田は黒板を消してて…
手伝って…
隣の席になって…
始め…津田の事を、天然でおかしい奴だと思った。
ただ、それだけで…好きになるなんて、思わなかった。
だけど、この無邪気で純粋な笑顔に、惹かれていった−…。
「西藤くん?」
「ん?あぁ…普通の事だよ」
「そうかなぁ〜?でも、ありがとうっ♪」
この笑顔を、ずっと向けてくれるなら…
このまま友達でいたい。
そう思うのに、津田の笑顔を見ると、少し胸が痛いのは何故だろう。
そして…スポーツ大会を迎えた。