ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「まぁいいや。じゃあ教えるから」
「うん」
「レシーブの時の手やって、まっすぐ伸ばして?」
「はい」

津田は言った通りにする。

「腕はそのままで膝使う」

俺が実際にやって見せると、。

「こ、こう?」

津田も俺の真似をする。

「そうそう」
「へぇー…でも、これどうやって右とか左に打つの?
「軽く腕傾けんの」
「うんうん」
「じゃあ俺が投げるから、打ってみて

俺はまた津田と距離を取って、ボールを投げた。

ぼよんっ

今度はちゃんとボールが返ってきた…けど

「ぷっ!」
「な、なんで笑うのぉ〜!?」
だって…
「津田…おかしいっ!」

打ちかたがぎこちなくて、腕こそ真っ直ぐにしているが、変なフォームだった。

「ひどい…ちゃんと出来たのに…。ん?そうだよ、西藤くん!あたし出来たっ!」

ぱあぁぁと、表情が明るくなる津田。

「良かったな」
「うんっ♪」

本当に表情がころころ変わる。

「西藤くん、やっぱり頭いいねっ!」

津田の言葉で、初めて会話したときの事を、ふと思い出した。

津田は黒板を消してて…
手伝って…
隣の席になって…

始め…津田の事を、天然でおかしい奴だと思った。

ただ、それだけで…好きになるなんて、思わなかった。

だけど、この無邪気で純粋な笑顔に、惹かれていった−…。

「西藤くん?」
「ん?あぁ…普通の事だよ」
「そうかなぁ〜?でも、ありがとうっ♪」

この笑顔を、ずっと向けてくれるなら…

このまま友達でいたい。

そう思うのに、津田の笑顔を見ると、少し胸が痛いのは何故だろう。



そして…スポーツ大会を迎えた。
< 114 / 494 >

この作品をシェア

pagetop