ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
なんだろう…?
放課後。あたしは、玄関先で翔くんを待っていた。
翔くんは準々決勝で負けてしまったけど、すごくいい試合をしてて、本当にすごいなぁって思った。
そして、その試合の直後に言われたんだ。
「話があるから…今日、一緒に帰ってください」
って…。
今までも、「先輩一緒に帰りましょーや!」って、軽く誘われて帰った事は何度もあるけど、今回は少し違って…。
真面目だったというか…真剣だったというか…。
いつもとは違う態度に、何故か不安な気持ちになる。
「苺先輩っ!」
声の方に振り向くと、翔くんが走ってきた。
「遅くなってごめんなさいっ!」
翔くんは顔の前で、手を合わせて謝る。
「いいよいいよっ」
あたしが言うと、翔くんはいつものように笑顔になった。
「じゃあ、帰りましょう♪」
「うんっ」
歩き慣れた道を、あたし達はゆっくり進む。
会話はスポーツ大会で、あの先生がこうだったとかくだらない事…。
なんだ…気せいかぁ。
いつもと同じ様子に安心した…
のだけど、
「苺先輩、ちょっと寄り道しても大丈夫ですか?」
「え?あ…うん」
「帰り道から、ちょっとずれるんすけど、ついて来て下さい」
やっぱり何かあるんだ…。
そうだよね、話あるって言ってたもんね。
さっきとは違って、翔くんは何も言わない。
あたしが何も言わないから、かもしれないけど…。
何だか胸騒ぎがしてた。
「苺先輩?着きましたよ?」
「え?」
気付けば公園の目の前で、あたし達は隅のベンチに座った。
目の前では、数人の子供達が遊具で遊んでいる。
「は、話って何?」
胸騒ぎに我慢できなくなって、自分から話を切り出す。
「あー…あの…」
翔くんは照れたように、顔を赤らめて言った。
「俺と付き合ってください」