ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「え…?」

言われた事が信じられなくて、確認する。

「付き合ってください。ダメっすか?」

今度は真剣に真っ直ぐ、あたしの目を見て言った。

その視線を受け止められなくて、あたしは目をそらす。

「どうして…」

翔くんとあたしは、そういう関係にならないと思ってた。
ただ、好かれてるだけで…だから安心してた。
なのに…

「俺…苺先輩の事、本当に好きになっちゃったんです」

「…」

「今日俺が3年生に絡まれたとき、苺先輩が言ってくれたこと…俺、すげー嬉しかったんです」

「それはっ」

「今まで、チビって言われても、周りの奴らはただ笑ってるだけで…でも、苺先輩は違って、俺の気持ち分かってくれて」

それは…言ったのは…翔くんのためじゃなく、きっと自分のために言ったんだ…。

だけど、嬉しそうに笑う翔くんを見てると、そう言う事が出来ない。

すると、急に翔くんは立ち上がり、あたしの前に立った。

「俺も先輩の1番の理解者になりますからっ!俺と付き合って下さいっ!」

頭を下げる翔くん。

「あ…」

あたしは言葉が見つからない。

「ダメ…っすか?」

翔くんは、本気だ。
あたしがダメだと言えば、翔くんは傷ついてしまう。西藤くんにフラれたあたしのように、辛い思いをさせてしまう…。

だからって付き合う事も出来ないよ…。

どうしたら…
何か言葉を−…。

必死に言葉を探すけど、初めての状況に、良い言葉が見つからない。
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