ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「ごめん…困らして」

言ったのは翔くんで、

「そんな顔しないでくださいよ」

泣きそうな笑顔を浮かべていた。

「あのっ」

思わず、あたしも立ち上がる…と

ぐいっ

あたしは翔くんに抱きしめられた。

「ちょ…翔くんっ!?」
「大丈夫…子供帰りましたから」

言われてみると、いつ帰ったのか、本当に居ない。

…って、そうじゃなくてっ!

「翔くんっ!」

「俺…苺先輩の事諦めません。苺先輩が好きだから、一人の男として見てもらいたいから…敬語ももうやめる」

ぎゅっと腕が、きつくなる。

「絶対、彼女にする」




どきん…どきん…
家に帰った後も、ドキドキは止まらなかった。

これからどうなるのか、どうしたらいいのか、自分でも分からない…。

ただ、翔くんの腕の中は暖かくて、居心地がよくて…
甘えてしまえば、どんなに楽だろう。

でも、だからって付き合うわけにはいかなくて…。

あたしが翔くんに対する“好き”は、違うから。

だけど、翔くんを傷つけるのも嫌…。

考えれば考えるほど、しんどくて。

告白されるって、もっと嬉しいだけのものかと思ってた。

初めて恋して…
初めて告白されて…。

苦しい…。

人を思うのも、人に思われるのも…苦しい。


あたしは疲れて、そのまま眠りについた。

涙が一筋頬を伝った。
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