ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

黒板…そういえば、

「席、1番後ろだけど黒板見えんの?」

彼女は少し考えた後、前を向いた。

「見えるよ!大丈夫!」
「そんなにちっさいのに見えるんだ…」
「見えるよ!これでも目は良いんだからね!」

彼女は自信満々といった感じ。

「そういう問題じゃ…」

俺は苦笑いをした。

「西藤くんって身長何センチ?」
唐突な質問…。

「…178だけど」
「由紀ちゃんおしい…」
「?」
「いや、こっちの話です!へぇ…あたしより30センチも高いんだね!」

30㎝…つまり…

「148?」
「う、うん…」

彼女は、俯いて頷いた。

「どんなに牛乳飲んでも、朝起きた時背伸びしても、全然伸びないんだもん…」
「女なんだし、めちゃデカイよりいいんじゃね?」

下を向いて話す彼女に、それくらいしか言葉が見つからなかった。
「でも…」

ぱっと顔を上げて、彼女は何か言おうとしたが、

「そうだね」

と言って笑った。

なんとなく、その笑顔が悲しげに見えた。
< 13 / 494 >

この作品をシェア

pagetop