ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
黒板…そういえば、
「席、1番後ろだけど黒板見えんの?」
彼女は少し考えた後、前を向いた。
「見えるよ!大丈夫!」
「そんなにちっさいのに見えるんだ…」
「見えるよ!これでも目は良いんだからね!」
彼女は自信満々といった感じ。
「そういう問題じゃ…」
俺は苦笑いをした。
「西藤くんって身長何センチ?」
唐突な質問…。
「…178だけど」
「由紀ちゃんおしい…」
「?」
「いや、こっちの話です!へぇ…あたしより30センチも高いんだね!」
30㎝…つまり…
「148?」
「う、うん…」
彼女は、俯いて頷いた。
「どんなに牛乳飲んでも、朝起きた時背伸びしても、全然伸びないんだもん…」
「女なんだし、めちゃデカイよりいいんじゃね?」
下を向いて話す彼女に、それくらいしか言葉が見つからなかった。
「でも…」
ぱっと顔を上げて、彼女は何か言おうとしたが、
「そうだね」
と言って笑った。
なんとなく、その笑顔が悲しげに見えた。