ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
本気で言ってるのか…?
確かめようとしたけど、すぐに話題を変えられた。
「あっ!お母さんね、あたしが裕ちゃんと付き合ってるって言ったら、びっくりしてたよ♪」
「へぇ…」
「裕ちゃんによろしくって♪」
“よろしく”
言われた瞬間、はっと思い出した。
おばさんが家を出た日の事…。
“裕也くん、麗奈をよろしくね”
きっと、そんなに深い意味で言われた言葉じゃない。
だけど、今の俺には“よろしく”この言葉が突き刺さる。
分かってる…
分かってるから…。
「裕ちゃん?何考えてるの?」
麗奈の言葉が、現実へと引き戻す。
「いや、別に…」
「最近、裕ちゃんぼーっとしてる。…何か…あった?」
「何もないよ」
俺は何となく笑って答えた。
ベッドから麗奈は降りて、俺の前に座る。
「裕ちゃん…」
そっと麗奈の唇が近づく…が、触れるか触れないかの所で、止まった。
麗奈の長いまつ毛が、当たってしまいそうな距離。
そんな距離で、麗奈は俺をじっと見つめる。
…と、麗奈は顔を離した。
「裕ちゃんは本当に男の子?」
………。
「は?」
「あたしと…彼女とキスしたいとか、襲っちゃいたいとか思わないの?」
ため息混じりで麗奈が言う。
「…」
そう言えば、思ったことないかもしれない。
「ねぇ、何で?」
真剣に麗奈が見つめる。
その姿は、いつかの昼休みと同じで、ヤバイと思った。
何でって聞かれれば、
それはきっと、誰でもいいわけじゃないから。
麗奈が“好きな人”じゃないからで…。
だけど、そんなこと絶対に言えない。