ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

熱帯夜。

♪苺side♪


暑いなぁ…。

一人で外を歩きながら思う。

もうすぐ18時になるというのに、まだ辺りは昼のように明るくて。

それもそのはず、今は8月。

向かうは夏祭り−…。

夏休みに入って、由紀ちゃんが部活のない日は、毎日のように遊んでいたけれど、今日の相手は由紀ちゃんじゃない。

今日の相手は…翔くん。

もちろん、付き合っているわけではない。
だけど、翔くんと遊ぶのも初めてじゃない。

何度か由紀ちゃんやメグちゃん、それに翔くんの友達を交えて遊んだから。

でも、二人で遊ぶのは今日が初めてで…
これは“デート”に、なるのかな?

さすがに少し緊張するけれど、不思議と前みたいに、不安になって「どうしよう!」とは思わない。


歩いて行くと、だんだん浴衣の女の子達が多くなる。

みんなとても可愛くて、「いいなぁ」なんて、心の中で呟いた。

だってあたしは…

「苺先輩ーっ!」

待ち合わせ場所で、翔くんは大きく手を振った。

まだ時間より早いのに。

あたしも手を振る。

翔くんは、時間に遅れた事がない。


「あっ、先輩浴衣じゃない!浴衣姿見たかったのに!」
「ごめんごめん」

あたしの姿は、シャツワンピにデニム…普通にお出かけようの私服。

女の子としてはやっぱり浴衣を着たい。
だけど着てしまったら、思い出してしまうからやめた。

ちょうど一年前…

あたしが恋をした日を−…。
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