ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「まぁ、私服も可愛いから良い♪」

翔くんは笑顔で言う。

「そっ、そんな事ないよっ!」
「そういう所もかわいい♪」
「っ!?」

翔くんは恥ずかしいことを、平気で言ってくる。
たとえ、由紀ちゃんや他の人の前でも関係なく。

「じゃあ、行こっか♪」
「うん」

翔くんと並んで歩く。

お祭りは沢山の出店が出ていて、わくわくする。

いつの間にかタメ口にも慣れたし、翔くんは一緒にいて楽しくて、笑いが絶えない。

「はい、苺先輩っ♪」
「ありがとう!かわいいっ♪」

射的で、くまのぬいぐるみを取ってくれた。
赤いリボンがくっついた、小さなくまのぬいぐるみ。


「俺達、周りから見たらどう見えるんだろ〜」

こんな意地悪なことを、たまに言う。

どう見えるって……そりゃあ、やっぱり恋人同士…に見えるんじゃないかな。

って、知り合い居たらどうしようっ!?

翔くんにバレないように、周りをチラッと確認する。

多分…いない。

居たところで、逃げるわけにもいかないから、どうしようもないのだけど。

あたしと翔くんは“お似合い”だと、よく言われるけど 、自分じゃさっぱりわからない。

“お似合い”

この言葉を聞いて思い出すのは、あの二人…。


今日、来てたりするのかな…。

気になるけど、探す勇気はない。

それに西藤くんには、翔くんと一緒に居る所見られたくないと思った。

あたしはずるい…。


「先輩っこっち!」
「えっ、何?」

急に翔くんは何かを発見して、早足で歩いて行く。
あたしもはぐれないように、ついて行く。

「苺先輩がいっぱい居る!」

立ち止まったと思ったら、翔くんはそう声をあげた。

「…へ?」
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