ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「…西藤くん?」
津田が振り向いた。
「え…」
自分の手はしっかりと、津田の手首を掴んでいた。
「あ…ごめんっ!」
手をぱっと離す。
津田はとても、不思議そうな顔をしている。
知らず知らずのうちに、津田を追い掛けてた…なんて嘘で、本当は分かっていた。
追い掛けたくなった。
話したくなった。
逃げられたら、追い掛けたくなって…
俺は子供か。
本当はあのまま、追いかけたりするべきじゃなかった。
だけど、勝手な考えだけど、今日なら…麗奈が明人さんと居る今日なら…
許される気がして…。
でも、やっぱり追い掛けるべきじゃなかった。
津田は顔を赤らめて俯く。
そんな姿を見たら、愛おしいと思ってしまう。
同時に罪悪感と恐怖。
自分の気持ちばっかりで、津田を傷つけてしまった罪悪感。
それから、嫌われていたら…もう笑いかけてくれくれなかったら…という恐怖。
恐る恐る、津田に声をかける。
「ちょっと…話さないか?」
「………」
津田はゆっくり微笑んで、頷いてくれた。