ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
麗奈と明人さんを見送った後、俺はまた歩き出す。
これからどうしようか…。
今日は麗奈と回る予定が…狂ってしまい、暇だ。
麗奈もすぐには、戻ってこないだろう。
最も、明人さんと一緒に居たいだろうし。
ふと、賑わっている場所があり、俺は近付く。
うちの学校名物、ミスコン会場。
去年より人が少なく感じる。
「今年はあの子、居ねぇのか〜」
言いながら男子が通り過ぎた。
麗奈のことだろうか。
麗奈は確かに美人。
でも…
俺はステージ上を見る。
やっぱり居るわけないか…。
居ないと分かりながらも、目は自然に津田を探していた。
また歩き出そうとした時、
ドンッ
「きゃっ」
人とぶつかった。
「すみませんっ」
謝りつつも、誰とぶつかったのかは、分からない。
「いえ…」
声は下からして、
「こっちこそごめんなさい」
下を見てドキッとした。
鼻を押さえながら謝る、見慣れた高さの女の子は…
「津田−…?」
「え?」
顔を上げた女の子は、やっぱり津田だった。
「津田…」
大丈夫?と続けるつもりだった。
だけど、続けるより早く、津田が喋り出した。
「西藤くんっ!ごっごめんねっ!あたしっ前見てなくって!じゃあっ!」
津田は真っ赤な顔で早口で言うと、少し駆け足で去って行く。
俺があんな態度取っていたのだから、当たり前だ。
当たり前…。