ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


「はい」
「あ、ありがとうっ」

西藤くんから、手渡されたイチゴオレで、少しほてった自分の手を冷やす。

冷たい…。

けど、今の状況がどうしても、信じられなかった。

ここは教室内の展示会場。
外は沢山の人が居るからと、移動した。展示を見にくる人は、ほとんど居ない。

だから、今あたしは西藤くんと、二人きり−…。

何かを期待するわけじゃないけど、西藤くんとこうやってまた二人で話せるなんて、夢みたいで…。

ずっとちゃんと話してくれなかったから、どうしても現実とは思えない。

だけど、心臓がこんなにうるさいのは…現実だから。

「「………」」

あたしも西藤くんも、何も言わない。
ううん、何も言えないんだと思う。
お互い、話すのはかなり久しぶりだから。

それでも、沈黙を破ったのは、やっぱり西藤くんだった。

「津田…ごめん」

何を謝っているのか、どうして謝っているのかなんて、あたしには分からない。

だけど、西藤くんが謝る姿を見て、胸がぎゅーって苦しくなった。
涙が…
我慢しなきゃ。

声を出すと泣いてしまいそうで、あたしは返事を笑顔にした。

「ありがとう…」

西藤くんも微笑む。

とても嬉しくなった。

沢山の言葉を交わして…話し合ったわけじゃないけど、分かり合えたような気がしたんだ。
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