ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「そういえば…」
何となく照れてしまって、教室の展示を見るあたしに、西藤くんは話し掛ける。
「ミスコン出なかったんだ?」
少し笑いを混ぜた、西藤くんの声。
「えっ!?なっ…」
“何で”と聞こうとして、はっと思い出した。
そっか…藤堂先輩。
藤堂先輩に聞いたんだ。
「…そういうの苦手だし、あたしの出る幕じゃないもんっ」
「津田らしいな」
やっぱり、西藤くんもあたしが出るなんて、筋違いだと思ってるよね…。
自分で1番分かってはいるけど、やっぱり少し悲しかったりする…。
まぁ、彼女はあの藤堂先輩だもん。
あんな綺麗な人が毎日側に居たら、あたしなんかジャガ芋に見えちゃうよ。
「でもさ、津田かわいいよ」
え−…?
自分の耳を疑う。
今、何て…。
ヴー…ヴー…
西藤くんの顔を確認しようとした時、ポケットの中の携帯が鳴った。
取り出して、サブ画面を確認する。
【着信 翔くん】
「あ…」
そういえば、後から一緒に回ろうって、約束してた…。
「電話?」
「うん、ちょっとごめんね」
あたしは教室から出て、電話に出た。