ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「あれ?西藤くん?」
始めに言ったのは、紺の浴衣の女…それは中野だった。
「裕也じゃん!」
男は、同じクラスの川原。
そして…
「西藤くん!」
赤っぽい浴衣の女は、やっぱり津田 苺だった。
赤っぽい生地に、ピンクの桜模様の浴衣に身を包んでいる。
そして、いつものツインテールではなく、今日は後ろでお団子ヘアにしてある。
「西藤くん誰かと待ち合わせ?」
津田が聞く。
「あぁ…でも、一人になったかな。」
「じゃあさ、一緒に回らない?」
誘ってきたのは中野。
「ね、苺?」と中野が津田を見ると、津田は何かわかったような顔をした後、手を合わせて“お願い”というポーズをした。
別に急いで帰る事もなかったし、お願いされて断るわけにもいかない。
「別にいいけど」
俺は津田達と回ることにした。