ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

お願い。

☆裕也side☆


「わぁ…こんなに沢山。裕ちゃん、ありがとう♪」

修学旅行から帰ってすぐ、お土産を持って、麗奈の家に行った。

早く…言いたくて。

「ちょっと上がって行きなよ?」
「あ…いや…」
「いいじゃんっ♪ねっ?」

今からしようとする話の内容を考えれば、上がりたくはなかった。
けど、麗奈は俺の腕を抱いて、強引に家に上げる。

「あ、いらっしゃい」

麗奈のお母さんが顔を出す。
明人さんに、どことなく似てる。
「お邪魔します」
「あ、お母さん、あたしがお茶入れるから」
「そう?」
「うん。裕ちゃん先に上がってて」

麗奈は微笑んだ。

俺は言われた通り、麗奈の部屋に入る。
いつ来ても、麗奈の部屋は片付いていて、シンプルな家具が大人っぽさを強調する。

小さな頃から一緒だった。
一緒に育ってきた。
ずっと麗奈を見てきた…。

だけど、今日で終わりにする。
俺は今日麗奈を裏切る…。

「裕ちゃん、お待たせ♪」

麗奈が、紅茶の香りと一緒に入ってきた。

「はい、どうぞ」
「ありがとう」

紅茶を一口飲む。

「どう?楽しかった?」
「…まぁ」
「海、綺麗だったでしょ?」
「おぉ」

思い出すのは、津田と見た海…。

言わないと…。

「いいなぁ…今度は一緒に見ようね」

麗奈は優しく微笑む。

“今度”なんか…来ない。

早く、言え。

「麗奈…」

俺は重い口を開いた。

「…別れよう」
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