ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「え……?」

麗奈は顔を、少し引き攣らせた。

「麗奈…別れて欲しい」

俺はもう一度、改めて言う。

苦しい…。

「何言ってるか…わからないよ」

「別れて」

もう一度。

「…どうして?」

麗奈は俯く。

「…他に、好きな奴が出来た」

嘘はつけないと思った。

「………」

沈黙。


「麗奈…」

泣いてしまったかと、心配になって声をかける。
すると、麗奈はふっと顔を上げた。

麗奈の目に、涙は浮かんでいない。

「嫌」
「え…」
「別れてっていうことに対して、あたしの返事は“嫌”。
裕ちゃん言ったよね?あたしとずっと一緒に居るって!」
「…」

俺は何も言えない。

「約束守ってよっ!あたし…別れないからっ!
「麗奈…」
「ごめん、今日はもう帰って」

麗奈はまた俯く。

その時、一粒の雫が、麗奈のスカートの上に落ちた。


俺はそのまま何も言わず、部屋を出た。


わかってた、麗奈を傷つける事。
それは予想以上にきつかった…。

麗奈は本当は寂しがりやだから、誰か側に居なくちゃダメなんだ。

俺だって、本当は麗奈の1番近くに、ずっと居てやりたかった。

だけど…俺は麗奈以上に、大切にしたいと思う女の子を、見つけてしまったんだ…。

津田 苺−…。

なぜ彼女と出会ってしまったんだろう。

なぜ恋してしまったんだろう。


津田…。

“会いたい”って思った。
< 187 / 494 >

この作品をシェア

pagetop