ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「え……?」
麗奈は顔を、少し引き攣らせた。
「麗奈…別れて欲しい」
俺はもう一度、改めて言う。
苦しい…。
「何言ってるか…わからないよ」
「別れて」
もう一度。
「…どうして?」
麗奈は俯く。
「…他に、好きな奴が出来た」
嘘はつけないと思った。
「………」
沈黙。
「麗奈…」
泣いてしまったかと、心配になって声をかける。
すると、麗奈はふっと顔を上げた。
麗奈の目に、涙は浮かんでいない。
「嫌」
「え…」
「別れてっていうことに対して、あたしの返事は“嫌”。
裕ちゃん言ったよね?あたしとずっと一緒に居るって!」
「…」
俺は何も言えない。
「約束守ってよっ!あたし…別れないからっ!
「麗奈…」
「ごめん、今日はもう帰って」
麗奈はまた俯く。
その時、一粒の雫が、麗奈のスカートの上に落ちた。
俺はそのまま何も言わず、部屋を出た。
わかってた、麗奈を傷つける事。
それは予想以上にきつかった…。
麗奈は本当は寂しがりやだから、誰か側に居なくちゃダメなんだ。
俺だって、本当は麗奈の1番近くに、ずっと居てやりたかった。
だけど…俺は麗奈以上に、大切にしたいと思う女の子を、見つけてしまったんだ…。
津田 苺−…。
なぜ彼女と出会ってしまったんだろう。
なぜ恋してしまったんだろう。
津田…。
“会いたい”って思った。