ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺ちゃん、大丈夫?」
「気にすることないよ」
「泣くなぁ〜」
クラスの友達が、次々に声をかけて来てくれた。
「ありがとう」
あたしは、涙が滲んだ顔で笑う。
西藤くんのことが好きだった人、この中にも沢山いるはずなのに、みんなあたしを慰めてくれる。
涙が出たのは、悪口を言われたせいじゃないよ…。
嬉しいからだよ…。
言いたいけど、胸がいっぱいで、言葉に詰まって言えない。
だから、代わりに笑ってみせる。
正直…あたしと西藤くんを応援してくれるのは、由紀ちゃんくらいだと思ってた。
あとのみんなは、悪く思うだろうなって…決め付けてた。
だけど、それは間違いで…。
もう悪口を言われても平気。
あたしの気持ちを分かってくれる人が、こんなに沢山いるから…。
西藤くんの彼女でもいいよって、認めてくれる人が、こんなにいるから…。
嬉しい気持ちで、いっぱいになった。
「苺ちん…」
「…あっ、あたし用事っ!」
翔くんに会いに行かなきゃならないことを、ふと思い出した。
そして、クラスの友達に囲まれていたせいもあって、あたしは気付いてあげられなかったんだ…。
メグちゃんの呼んだ声に。
「…うざいよ」
メグちゃんは、誰にも聞こえない声で言った。