ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「いちご飴……?」
「そう、いちご飴。名前苺だしさ……いちご好きそうだったから」
はぐれた事や泣いた事の話はせずに、西藤くんは笑う。
何だか胸がきゅんとした。
「ありがとう……いちご好きなんだ」
差し出されたいちご飴を、笑って受け取った。
「苺ー!!」
背中から聞き慣れた声がして、振り返ると同時に抱きしめられた。
「苺、心配したんだからね!」
少し震えてる由紀ちゃんの声。
「ごめんね?」
あたしも由紀ちゃんを、抱きしめ返す。
由紀ちゃんの後ろには、川原くんも居た。
みんな……居る。
何だかすごくホッとした。
「ね……苺」
由紀ちゃんは、抱き着いたまま、あたしだけに聞こえる声で話す。