ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「髪、切ったんだな」

わざと話題をそらした。
何となく“別れ”を、意識したくなかったのかもしれない。

「うん、似合うでしょ?」
「あぁ」
「でしょ?なのにみんなびっくりしすぎっ。あたしだって髪くらい切るよ」

少し怒った口調で話す麗奈を見て、俺は笑った。

「でも…なんでまた急に?」
「…」

麗奈は俯く。

「………決意」

かろうじて聞こえるくらいの声で、麗奈は言った。

「決意…?」

「そう、あたし逞しくなることに決めたって、言ったでしょ?その決意のために」

顔を上げて清々しく笑う麗奈は、見ているこっちが気持ち良い。
麗奈は変わったと思う…この短期間の間に。

「そろそろ…戻ってあげなよ」

麗奈の言葉で、ふっと津田の顔が浮かんだ。

俺は頷く。

「裕ちゃん、あたし頑張るから…裕ちゃんも頑張ってね?これから何があっても頑張ってね?」

「あぁ。麗奈も…頑張れ」

「…ありがとう」

「おめでとう、麗奈」

俺は麗奈に背を向けて、歩き出した。

麗奈が居なくなるのは“寂しい”。

ここ約1か月、麗奈の居ない日々を送っていたけど…朝、家を出ても麗奈の姿を見ることはない。

その度に、何かを失ったような…そんな気持ちになる。
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