ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

確かに俺は、麗奈と共に過ごす日々を失った。

子供の頃から、ずっとずっと一緒だった麗奈を…。

だけど、少し歩けばいつも待ってるんだ…

1番愛しい女の子が…。

何かを失う…
けど、それはきっと
何かを得るから…。

俺は走って、教室に向かった。



麗奈はポケットから、携帯を取り出す。

開いた電話帳…ボタンを押すことに、もう躊躇わない。

カチッ

プルルル…プルルル…プッ

「もしもし?」
『あ、麗奈?今どこ?探してたんだぞ』
「ごめんなさい。校舎裏に居る…ちょっと一人で来れるかな?」
『わかった』

パタンッ
携帯を閉じる。
閉じた手が、小刻みに震える。

だけど、逃げない。

今日、全てから“卒業”する−…。

前に進むために。
新しい恋を見つけるために…。


ジャリ…ジャリ…

「麗奈…?」

聞き慣れた、低く、太く、優しい声…。

「驚かないで聞いてね…」

ポケットに手を入れる。
震えてしまいそうな声を、必死に絞り出す。

「あたし…あたしね…」

裕ちゃん…頑張るよ。
ポケットの中のお守りを、ぎゅっと握りしめた。

「お兄ちゃんのことが…好き……」


さようなら…。

それは、麗奈の恋が終わった瞬間。
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