ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「でも、なんで中野と…川原?」
俺は先に前を歩く二人に、聞こえないように声を潜めて、津田に聞いた。
「あ…二人付き合ってるんだよ」
津田は笑顔で答える。
「マジ…?」
「うん」
前を歩く二人を、もう一度見る。
川原は中野に叩かれて、尻にしかれてる感じ。
恋人…と言うより、夫婦みたいだ。
俺達も、こんな風になるのだろうか…?
津田に視線を移すと、津田はにこにこと笑っていた。
おそらく、津田は尻にしく…って感じではない。
俺と津田は、また別だな。
俺は微笑み返した。
見た映画は恋愛モノで、俺は知らないうちに眠ってしまっていた。
目を覚ますと、ちょうどラストシーンだったらしく、隣に座っていた津田は、目に涙をいっぱいに貯めて、うるうると涙ぐんでいた。
そんな津田は、とても可愛いらしくて…。
視線に気付いた津田は、こっちを見て恥ずかしかったのか、急いで涙を拭いていた。
馬鹿みたいに、津田を可愛いと思う。
麗奈を綺麗だと思うことは、何度もあった。
だけど、それと津田を可愛いと思う感情は、全く別。
津田は何というか…他の人とは違う“特別”な存在。