ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
【1番 間 メグミ】
メグちゃんも同じクラスなんだ…。
フッと頭の中を過ぎるのは、この前街で偶然出会った時のこと。
メグちゃん、こっちに気付いたと思ったのに…。
何か、気に触るようなことをしてしまったのかと、不安になる。
「あっ、俺また5組」
「えっ」
西藤くんの言葉で、5組の方を見ると、確かに西藤くんの名前があった。
「…」
「津田?」
「離れちゃったね〜」
あたしは西藤くんに心配させまいと、冗談っぽく笑った。
でも…
2組と5組。
近いようで遠い…。体育の授業さえ、一緒にならないよ…。
分かっていたのに、事実をいざ目の前にすると、みっともないけど泣きそうになっていた。
「…じゃあね」
3年2組の教室の前、あたしは西藤くんに笑顔で手を振る。
今までなら…いつもなら…一緒に教室に入っていたのに、もう今日からは別なんだ。
「じゃあな」
西藤くんは微笑んで手を振って、背中を見せた。
「…」
「苺、何て顔してんのよ!」
「あ…由紀ちゃん」
自分のことでいっぱいで、すっかり由紀ちゃんの存在を忘れてた。
「苺は彼女なんだから、朝も会えるし、休憩時間もお昼も、放課後だって会えるんだから、そんな顔しないの!」
そういえば、由紀ちゃんも川原くんとまた違うクラスなのに、全然寂しそうなそぶりを見せない。
彼女…。
そうだよね、今までとは違う。
“彼女”なんだもん。
これくらいのこと、頑張らなきゃ。
「うん…由紀ちゃんありがとう」
あたしは笑った。