ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
ポカポカとした春の太陽の熱は、肌に心地良い。
「えと…泣いちゃってごめんね」
恥ずかしそうに謝る津田に、「いいよ」と返す。
びっくりはしたけど、泣いて喜んでくれる姿は、とても嬉しいものだった。
「あたし、男の子にプレゼント貰うのって初めて」
「そっか」
津田は無邪気に、ニコニコ笑いながら、ネックレスを触る。
誕生日とか知らなかったから、教えてくれた中野に、本当に感謝しなくちゃならない。
こんなに喜んでもらえるなんて、思ってもみなかった。
「そういえば、“苺”って名前に、由来とかあんの?」
津田は一瞬、きょとんとしたが、すぐに笑顔で話し始めた。
「えっとね…あたしのお母さん、ガーデニングが趣味でね、イチゴも育ててたんだ。
でも、あたしがお腹にいた年は、どうしてか…実がなかなか赤くならなかったらしいの。
でもねでもね、あたしが産まれた日に、ちょうどイチゴが赤くなっててね、
お父さんが病院に持って来て、お母さんとあたしに見せてくれたんだって」
「それで苺?」
「うん、単純だけど…ちょっとだけ、運命感じちゃうよね」
「そうだな、良い名前だと思う。津田の両親って、仲良いだろ?」
「うん、仲良い♪」
津田の両親…会ったことはないけど、幸せな家族像が頭に浮かんだ。
「西藤くんのご両親は?」
「普通に仲良いよ」
「そっかぁ♪」
津田は微笑む。
「あたしも将来は、そんな家族つくりたいなぁ……って、えっ!!」