ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「なっ、何言ってんだろっ!?ごめん、流してっ!!」
自分の発言に、自分で驚いたらしく、津田は真っ赤に染めた顔を、手で覆う。
そんな津田が可愛らしくて、俺は笑った。
でも…本当に…
「そんな家族になれたらいいな」
「え…?」
俺はただ微笑む。
「…うん」
津田も笑った。
これからどんなことが待っているかは、分からない。だから“結婚しよう”なんて、軽々しく言えない。
だけど、今俺が願うのは…
ずっとこの笑顔が、側にあることだから。
大好きな、
大好きな、
「苺−…」
「え?」
何も考えずに、“苺”って名前が出た。
今までずっと“津田”って呼んできたけど…
「“苺”って呼ばせて?」
ずっと呼びたかった。
君だけの特別な名前…
“苺”と…。
「…うん」
苺はこくんと、恥ずかしそうに…だけど笑顔で頷いた。
「ありがとう、苺」
ぐいっ
「ひゃっ」
苺が可愛くて可愛くて、抱ききしめる。
小さな体には、簡単に腕が回る。
しばらくそのまま、何も言わずに抱きしめていた。
「苺−…?」
「…………すぅ…」
そっと体を離すと、苺の無邪気な、屈託のない寝顔が見えた。
「また…寝てる」
俺は笑って、そのまま苺の頭を優しく撫でた。
太陽の光に包まれて、優しく静かに午後の時間は流れる。
今日は苺の18歳の誕生日。
そして、“津田”から“苺”に、なった日−…。