ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「ひ、久しぶり」

あたしは、ぎこちなく挨拶をする。

3年生になってから、翔くんとこうして…面と向かって話してなかったから。

「久しぶり」

翔くんは前と変わらぬ笑顔で、返事をしてくれた。

「えと…ちゃんと入部したの?」
「うん、今から部活!すっげー大変!」

“大変”と言いながらも、顔は笑ってて、楽しいのが伺える。

「苺先輩は?…あ、西藤先輩待ってんの?」
「…うん

笑って頷きながらも、やっぱり罪悪感を感じずにはいられない。

「仲良くていいなっ!」

それでも、翔くんは笑顔で言ってくれた。

気にしてるのは、あたしだけかもしれない…。

「じゃ、また!」

翔くんは手を振って、早々に廊下を歩いて行った。

何だろう…この気持ち。

翔くんの後ろ姿を、見ながら感じた気持ちは…由紀ちゃんが部活を始めた時と、よく似てる。

置いて行かれるような…
“寂しい”って気持ち。

毎日のように一緒に帰ったりしていたのに、西藤くんと付き合い出してから、パタリとなくなって…話す機会さえ、少なくなった。

それは当たり前…彼氏が出来たんだから当たり前なんだけど、

何だか1人の友人を、なくしたような気がして…。
< 259 / 494 >

この作品をシェア

pagetop