ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「ひ、久しぶり」
あたしは、ぎこちなく挨拶をする。
3年生になってから、翔くんとこうして…面と向かって話してなかったから。
「久しぶり」
翔くんは前と変わらぬ笑顔で、返事をしてくれた。
「えと…ちゃんと入部したの?」
「うん、今から部活!すっげー大変!」
“大変”と言いながらも、顔は笑ってて、楽しいのが伺える。
「苺先輩は?…あ、西藤先輩待ってんの?」
「…うん
」
笑って頷きながらも、やっぱり罪悪感を感じずにはいられない。
「仲良くていいなっ!」
それでも、翔くんは笑顔で言ってくれた。
気にしてるのは、あたしだけかもしれない…。
「じゃ、また!」
翔くんは手を振って、早々に廊下を歩いて行った。
何だろう…この気持ち。
翔くんの後ろ姿を、見ながら感じた気持ちは…由紀ちゃんが部活を始めた時と、よく似てる。
置いて行かれるような…
“寂しい”って気持ち。
毎日のように一緒に帰ったりしていたのに、西藤くんと付き合い出してから、パタリとなくなって…話す機会さえ、少なくなった。
それは当たり前…彼氏が出来たんだから当たり前なんだけど、
何だか1人の友人を、なくしたような気がして…。