ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


ゆっくりだけど確実に、月日は流れていた−…。

将来のことはおろか、進む大学さえ決めてないのに…

手には、先生が奨めた論文集。

進路のための学習…。

あまり目立たないが、成績は決して悪い方じゃない。
それは、麗奈が近くに居たから…テスト期間中、よく勉強を教わっていた。

だからと言って、俺は麗奈じゃない。
あんなに頭が良いわけでもない。

なのに、周りの大人は何を期待しているんだろう…。

くそだりぃ…。

思いながらも、しっかりと論文集を借りようとしている自分は、真面目なのだろうか。


「?」

静かな図書室を歩いていると、ふと図書室の一角で、一人の女の子が目に入った。

小さなその子は、精一杯手を伸ばして、本を取ろうとしている…が、届かない。

授業中、【今日は一緒に帰れないごめんね】ってメールを送って来た人。

今日はもう、会わないと思ってたな…。

一歩ずつ、静かに近づく。

一生懸命なせいか、後ろに立っても気付かない。

取ろうとしている本を、後ろから手を伸ばして取った。

「あっ!」
「野菜の栽培…?」
「ゆっ裕くん!?…きゃ!」

振り向いた瞬間、苺は驚いたのかバランスを崩して、倒れかける。
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