ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

メグちゃんは自分の席に着いて、お弁当を開く。

ズキンッ

苦しい…。

「あれ?苺ちゃん、間さんと喧嘩?」

様子を見ていたのだろう、クラスメイトの女の子が聞いてきた。

「…うん」

頷きながら、疑問を感じる。

これは喧嘩…って、言うのかな…。

今まで、友達と喧嘩したことは、幾度となくあるのに、今回は少し違う気がした。

「じゃあ、苺ちゃんも一緒に食べようよ?」

優しいクラスメイトの言葉。

「うん、ありがとう」

あたしは笑って返事をして、その子の居るグループに、移動しようとする。

そんな時、「津田さん」と、別の子に呼ばれた。

呼ばれた理由はすぐに分かった。
教室の入口には、見慣れた…だけど、何故か懐かしく感じる人が立っていた。

「翔くんっ!どうしたの?」
「久しぶりに、一緒に食べようと思って!」

笑って翔くんは、手に持ったお弁当をあたしに見せた。

「なんで…?」

あたしが裕くんと付き合い出してから、一度も翔くんとお昼を過ごしたことはない。

なのにどうして?

「やっぱ無理か」

翔くんは答えを言わずに、苦笑する。

「…いいよ」

あたしは笑って答えた。

メグちゃんが見てることにも、気付かずに…。
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