ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
少しだけ…少しだけ、悪いことをしているような気持ちになった。
クラスメイトの誘いを断って…
裕くんの誘いを断って…
こうして、翔くんと中庭で昼食を食べている。
彼氏がいるのに、これはいけないことなのかな…。
だけど、笑いながら話をしてくれる翔くんを見ていると、気持ちが楽になるような気がした。
「なんか…悩んでる?」
急に言われて、びっくりしたけど、あたしは素直に頷く。
誰かに…分かって欲しかった。
裕くんには、もちろん言えなくて…。
メグちゃんと、やっと仲良くなり始めた由紀ちゃんにも、言えなかったこと…。
「友達と…ちょっと喧嘩してるみたいになっちゃって…。どうしたらいいのかな…」
少しだけ、声が震えた。
どうしても、もう仲良くできないかもしれない…って、思ってしまう。
「そっか…」
翔くんは優しく続ける。
「大丈夫だって。苺先輩は、喧嘩した相手を“友達”って呼んでる。“友達”なら、きっと気持ち伝わるから」
友達…。
そう思っているのは、あたしだけじゃないだろうか。
「…大丈夫かな?」
「大丈夫!」
無邪気に笑う翔くんを見てると、不思議と大丈夫な気がした。
「ありがとう」
そう微笑んだとき…
「……」
翔くんは、明らかに違う方向を見て、目を見開いた。
見てる先は…校舎。
2階からこっちを見てる人が、一人…。
「裕…くん?」