ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
☆裕也side☆


「…苺」

廊下から、中庭で楽しそうに話す、苺を見てた。

まるで、呟いた声が聞こえたみたいに、タイミング良く苺はこっちに気付いて、

あの男に何かを言って、走り出す。

きっと、こっちへ来るつもりだろう…。

でも…何だか心がもやつく。

最近、苺の様子がおかしかった。
元気がないというか…やけにみんなの前で、俺と一緒に居るのを避けていた。

だから、どうしても心配になって、教室まで来たんだけど…来ない方が良かったかもしれない。

苺の友達だって、分かってるのに…イラつく自分。

ヤバイな…今、苺に会ったらきっと…。

タンタンタンと、軽い足音が聞こえて、足音の持ち主は、すぐに俺の前に現れた。

「はっ…裕くんっ…」

大きく肩を揺らして、息を切らしながら呼ぶ。

「…」

何を言ったらいいか、分からなかった。
正直、何も言いたくなかった。

「っ…ごめんねっ…」

苺の口から出た言葉。
そんなに深い意味で、言われた言葉じゃないのなんて、分かってる。

だけど…

「苺、謝るようなことしてたんだ?」

「えっ…」

「あいつの方がいいなら、それでいいよ」

「ちょっちょっと待って!」

近づこうとした苺を、避けるかのように背を向ける。

「最近素っ気なかったの、あいつと会ってたからなんだな」

俺は何てことを…。

違うと分かっているのに、まるで自分の口じゃないみたいに、止まらない。

「もう好きにしていいから」
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