ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
後ろに居るはずの苺からは、何も物音がしなかった。
声も…
近寄る足音も…。
酷いことを言ったと思いながらも、意地を張って、どうすることもしなかった。
苺を置き去りにして、歩き出す。
嫌いになったわけじゃない…。
むしろ大好きなのに…
それ故に、ムカついた。
そのまま教室にも戻りたくなくて、階段を上る。
向かった先は…屋上。
気分を紛らわせたかった。
風に当たって、頭を冷やそうと思った。
いつも苺が「重たいよね」と、言うドアを、何てことなく開けると、ふわっと優しい風が体を包む。
いつも苺と一緒に、昼休憩を過ごした屋上。
苺は昼食を食べ終わると、決まって眠たそうにしてて…その姿が、堪らなく愛らしかった。
そして、誕生日プレゼントをあげたのも、ここ。
涙した苺−…。
そう…涙したんだ。
あんなに想ってくれているのに、自分は何をしているんだろう。
他の男と居るのが嫌とか…なんて子供なんだろうか。
「…バカだな」
ふっと笑いを混じらせ、呟いた。
風は不思議と、イラついてた心を穏やかにさせる。
謝りに行こう…。
振り返ると、ドアの前に1人の女の子が立っていた。
「間…?」