ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

予想外の人物に、少し動揺する。

「何?」

俺が言うと、間はにっこりと笑って、近づいて来る。

「西藤くん、苺ちんにフラれちゃったねぇ♪」
「は?」
「苺ちん、やっぱり翔くんの方が良いみたいじゃん?」
「…」
「西藤くんと居るより、楽しそうだったしぃ…翔くんとの方が、お似合いだと思うなぁ♪」

静まっていたはずの心に、またフツフツと怒りが込み上げる。

もちろん、苺に対してじゃない。

「だから何だよ?」

キレ気味に言うと、

「えーっとね♪メグと付き合おう?」

俺の腕に自分の腕を巻き付けて、首を少し傾げて、間は笑った。

「…やってらんねぇ」

腕を振りほどいて、立ち去ろうとした…けど、

「待って!」

今度は両手で、腕をしっかりと持たれる。

「お願いっ!フリでもいいからっ!別れるだけでもいいっ!西藤くん苺ちんをっ…」

今までに見たことがないくらい、必死な間に驚いたのと、

最後の言葉に、違和感を感じた。

「苺を…?」
「あ…」

間は口ごもる。

そして…

「…何で泣いてんの?」

零れてこそいないが、間は涙を浮かべていた。

「…」

黙ったままの間を見て、ふと思い出す。

確か…苺が俺を避けてたのは、決まって間が、近くに居るときだった気がする。
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