ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


あたしはただ、その場に立ち尽くしていた。

泣くわけでもなく…
怒るわけでもなく…

無表情のまま、立ち尽くしていた。

裕くんに…あたし…何…言われたの?

冗談だよね…?
うん、冗談に決まってる。

手にぎゅっと力を入れて、自分に言い聞かせる。


「苺先輩…」

気付けば、翔くんが目の前にいた。

「ごめん…俺のせいで…」

切なそうな顔をする、翔くん。

どうして?

「俺のせいで西藤先輩怒らせて…」
「…怒ってないよ!大丈夫!翔くんは気にしないで!」

あたしは笑う。

「じゃあ、謝りに行ってくるね♪」

翔くんに明るくバイバイして、裕くんの元へと足を進める。

本当は怖いくせに、笑顔で振る舞って、本当にバカだ…。

でも、大丈夫。
ちゃんと謝れば…話せば、許してくれるから…。

そしたらまた、優しく「苺」って、呼んでくれる。


あたしは何の迷いもなく、屋上のドアの前に立っていた。

ここに裕くんが居る、確証なんてない。

だけど、ここだと思った。

お昼をいつも二人で、過ごす場所−…。
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