ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「おもっ…」
錆びたせいで重たくなったドアを開けると、いつものように風に包まれる。
ドアを開いた先には、やっぱり裕くんが居た。
でも…
ドクンッ
心臓が1回、大きく鳴る。
「メグ…ちゃん…」
自分の目が、おかしくなったのかと思った。
あたしが見てしまった光景…
それは、
メグちゃんは泣いていて…それを裕くんが慰めていた。
裕くんの手は…メグちゃんの頭の上…。
足も、手も、口も…全てがまるで、凍りついたかのように動かない。
何で…?
その手でいつも、優しく撫でてくれるのは、あたしの頭。
でも、今日はあたしじゃなく、メグちゃんなの?
ふっと頭を過ぎった言葉は、
“メグが西藤くん奪うから”
「苺っ」
裕くんの呼ぶ声で、まるで催眠が解けたかのように、あたしの体は動く。
裕くんとメグちゃんが、居る方向とは逆に。
あたしは屋上を飛び出した。