ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
時間が過ぎるに連れて、だんだんと教室に人がたまってゆく。
そして、みんなあたしを見るの。
噂になってるのは、知ってるけど…ちょっと辛い。
「ねぇ、マジで別れたのかなぁ?」
「そうじゃない?一人…だし」
「うっそ♪じゃあ、うちにもチャンスあるってこと?」
「バカ、次は間さんだって!」
聞きたくなくても、聞こえてしまう話声。
人はこれを“地獄耳”と呼ぶのだろう。でも、だったらきっと、みんな地獄耳じゃないだろうか。
自分のことって、いつもより大きな音で、聞こえる気がする…。
“次は間さん”
昨日見た、裕くんとメグちゃんの姿が、頭から離れない。
メグちゃんは結構美人さんで、背も低くない。
圧倒的に、あたしよりも裕くんの隣が似合ってた…。
って、何考えてるんだろう。
容姿は気にしないって、決めたはずなのに…内面頑張るはずだったのに…。
「苺っ!」
教室に小走りで、由紀ちゃんが入って来た。
「今日早かったんだね」
「うん…」
裕くんに会いたくなかったから…いつもより早く家を出た。
「もぉ、休みかと思って、苺ん家まで行っちゃったよ」
「えぇっ!?ごめんっ!」
「近いからいいよ」
由紀ちゃんは笑う。
「それより…わたしの方がごめん…」