ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「メグちゃんの悪口言わないで」

「え?」

クラスメイトは笑うのを止め、驚いた顔で見る。

「メグちゃんの悪口言わないでよ…。ごめんけど、あっち行って」

それが、あたしの精一杯だった。

「何…?意味不明。あっち行こっ」

さっきとは、明らかに違う目であたしを見て、立ち去った。

「苺?」

由紀ちゃんが不思議そうな顔をしたから、あたしは笑った。

「友達だから」

メグちゃんは友達。
あたしは今でも、そう思ってる。

メグちゃんがあたしを庇ってくれたのも、友達だと思ってくれたからだと思う。

“大嫌い”って言われてしまったけれど…それは本心じゃないと、信じたい。

「苺…バカなんだから」

由紀ちゃんは、小さな声で続ける。

「苺がそう言っても、わたしはやっぱり…」

その時、ざわついてた教室内が一瞬、静まりかえった。

何…?

みんなが注目してるのは、教室後ろのドア。

そこに立っていたのは…メグちゃん。

「あ…っ」

あたしと目が合うと、メグちゃんは顔を歪めて、教室から走り去る。

「ちょっ、メグっ!」
「由紀ちゃんっ!?」

由紀ちゃんもメグちゃんを追い掛けて、教室を出た。
< 282 / 494 >

この作品をシェア

pagetop