ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
あたしも反動で、二人を追い掛けていた。
「わっ!」
「ごっ、ごめんなさいっ!」
廊下には、教室に向かう人がまだ沢山居て、何人かとぶつかりかける。
それでも必死に追い掛ける…けど、運動音痴なあたしの足が速いわけもなく、二人との距離は縮まらない。
階段に差し掛かった所で、由紀ちゃんはメグちゃんに追い付いたのか、二人の声が聞こえた。
「ねぇ何がしたいのっ!?苺のこと、友達なんじゃなかったのっ!?」
久しぶりに聞く、由紀ちゃんの怒った声。
階段を少し降りた、1階と2階の間に二人は居た。
由紀ちゃんは、メグちゃんの手首を掴んで、捕まえている。
待って!
階段を、あたしは急いで降りようとする。
「離してよっ!どうせ苺ちんの…親友のアンタには分かんないよっ!」
「…え?」
「きゃっ」
あたしは次の瞬間、足を滑らせた。
「苺!」
「苺ちんっ!?」
あたしの悲鳴に気付いた二人は、驚いた顔をした。
手摺りに反射的に捕まると、体重は一気に後ろに掛かる。
「あっ!」
倒れるっ!
ゴンッ
頭に痛みが走ったような気がしたけど、あたしはのまま意識を無くした−…。