ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
先生に軽く会釈して、カーテンが閉まったベッドへと、足を進める。
窓を開けているのだろう、さらさらとカーテンは、小さく揺れていた。
そして…ベッドの横に、誰か座っている影。
先客…。
そっとカーテンを開けると、そこに居たのは、
「間…」
俺には見向きもせずに、間は苺のをずっと見ていた。
苺の手を、握りしめて−…。
俺はそんな間の横に立って、苺を見た。
…なるほど。
確かに苺は眠っている。
静かな寝息を立てて、初夏の風に揺られながら、気持ち良さそうに眠っていた。
その姿は屋上で眠るのと同じで、安堵する。
「間?」
もう一度呼ぶと、今度はゆっくりと振り向いた。
苺の顔を見て落ち着いた俺は、小声で間に話し掛ける。
「仲直りまだしてねぇの?」
間はまた、苺の方を見て頷いた。
「何で?」
「…もう…嫌われちゃってるって思って…怖くて話せない」
寂しそうに目を細める間は、いつもとは全く違って、元気がなかった。
「苺は…簡単に人を嫌う奴じゃないよ」
「わかってるけど…」
そんな話の途中、先生はカーテンを開け、「職員室に居るから」と、言って出て行った。
三人になった保健室で、もう一度口を開く。
「俺に言ったみたいに、素直に言えばいいじゃん」
そう言ったとき、調度チャイムの音がした。