ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
間はしばらく、何かを考えている様子だったけど、少しして静かに立ち上がった。
「教室戻んの?」
「ううん…適当にサボる」
「そっか」
「苺ちんが…苺ちんが目を覚ましたら、ちゃんとする」
間とは思えないくらいの、静かな笑顔を残して、保健室を出て行った。
俺は一人、この場に残ることにした。
せめて…保健室の先生が、帰ってくるまでは。
苺の安らかな寝顔は、知らず知らずのうちに、笑顔を与えてくれる。
椅子に座り、そっと苺の髪を撫でた。
昨日は俺も、酷いことを言ったし…酷い所を見せてしまった。
俺も謝らなきゃな…。
恋愛って難しい。
苺をとても大切に思っているのに、気持ちは上手く伝わらない。
恋愛だけじゃない…友情も。
言葉にしなくちゃ、気持ちは上手く伝わらない。
「苺…良かったな」
もうすぐ…目を覚ましたら、小さなその胸に渦巻く、大きな苦しみはなくなるから…。
でも、女の友情って、男には少し理解し難い。
人によって、いろんなカタチがあるけど…
それは“恋”に、少し似ている気がした−…。
屋上で、間が口にした言葉…
「苺ちんを取らないで…か」