ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

だけど−…

「ありがとう」

教科書を受け取って、優しく微笑んでくれた。

本当に、優しく…。

その笑顔が胸に刺さるように染みて…どうしてか、泣きそうになった。

その瞬間、メグは救われた気がしたんだ。

救ってくれたのは、あの子じゃない。

今、目の前に居る…

「苺〜?」

離れた所から声がして、

「今行くっ!」

“苺”と呼ばれたその子は、返事をする。

「ありがとう。それじゃあ…」

また優しく微笑んで、パタパタと走り去った。


ただ、笑ってくれただけ。

誰であっても、笑ってくれたのかもしれない。
苺ちんじゃなくても、良かったのかもしれない。

でも、苺ちんだった。


あれ以来、初めて女の子に“友達になりたい”と、心から思えた−…。


だけど、クラスも違うし、接点なんて一つもなくて、月日はただ過ぎて行った。

そんなある日、たった一つの接点を見つけてしまったんだ。


それは…メグも苺ちんも、西藤くんを好きだという事…。


偶然だった。偶然、廊下を歩いてたら教室から声がして…苺ちんが告白するのを聞いてしまって、気持ちを知った。

嬉しかった。
同じところを見つけて…。
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