ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


ゆっくりと、全てを話すメグちゃんの声が、静かな玄関に響く。

その場に腰を下ろして、あたしはメグちゃんの言葉の1つ1つを、聞き逃さないように、頷きながら聞いた。

時々詰まりながらも、一生懸命に話してくれた。

その仕種も、話の内容も、全てが胸に響いて、泣きそうになる…。


知らなかった、メグちゃんの過去と気持ち。

そんなにも、あたしのことを思ってくれてたなんて…。

「メグちゃん…」

あたしは涙を堪えて、俯いたままのメグちゃんに、声をかけた。

正直、何を言ったらいいのか分からない。

だけど、一つだけ言いそびれたことがあって…。

「あの時…メグちゃんが庇ってくれた時、本当に嬉しかったよ。ありがとう」

もっと早く、言うべきだった。

きっと靴のイタズラは、“寂しさに気付いて”っていう、メグちゃんのサイン…。

あたしは気付かず、ずっとずっと見逃してた。

「ごめんね…」

何度もサインは送られていたのに、どうして言葉にしなくちゃ分からないんだろう…。

言葉を持たない動物達は、器用に気持ちを伝え合うのに…

人は言葉を持つ代わりに、不器用だね−…。

だけど、メグちゃんはちゃんと言葉にしてくれたから、あたしも言葉にする。
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