ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「メグちゃん」

あたしが立ち上がると、メグちゃんも「何?」と、呟いて立ち上がった。

「これ、上に置いて?」

下駄箱から靴を取って、メグちゃんに手渡す。

「え…」
「置いて?」

もう一度言うと、戸惑いながらもメグちゃんは、あたしの靴を持って、下駄箱の上へと手を伸ばす。

靴は、少し奥に置かれた。

うん…届かない。

「あのね…メグちゃん」

下駄箱の上に置かれた靴を、見つめながら続ける。

「手前にあったらね、ジャンプして取れるの。でも…」

あたしは視線を、靴からメグちゃんに向ける。

「奥にあったら…やっぱり取れないんだ」

あたしは微笑んだ。

「メグちゃん、取ってもらえる?」

「ーっ…」

メグちゃんの瞳は潤む。
1回頷いて、メグちゃんはあたしの靴を取ってくれた。

「ありがとう」

あたしは靴を受け取って、笑って見せる。

「メグちゃん…これからも、お願いしていいかな?」

“これからも友達で居て”

そんな意味を、込めて言った。

「…うんっ」

伝わったのだろう。
メグちゃんはぽろぽろと涙を零しながら、何度も頷いた。
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