ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

「ごめんねっ…苺ちん…ごめんねっ…っ」

泣きながら謝るメグちゃんを見ていると、堪えていた涙が再び溢れそうになった。

だけど、涙じゃなくて笑顔を零す。

メグちゃんは、あたしの笑顔に救われたと、言ってくれたから…。



「メグちゃんっ、顔大変っ!!」
「…えっ?」
「えっと、マスカラ?とかがっ…大変なことになってる!」

いつの間にかメグちゃんの顔は、涙で化粧が落ちて、ぐしゃぐしゃになっていた。


「うわ〜!」

トイレに駆け込んだメグちゃんは、自分の顔を鏡でみるなり絶叫した。

「ふっ…あははっ」
「ちょっと!苺ちん笑わないでよぉ〜っ!」
「だって、おかしい!」
「もぉ〜!」

そう言うメグちゃんも、顔は笑っていて、口調はいつも通りに戻っていた。

「顔、綺麗にしないと戻れないね」
「メイク落としなんか、持ってないよぉ〜」

あたしは笑いながら、ポケットからティッシュを取り出して、メグちゃんに手渡した。

授業中の静かなトイレで、必死にメグちゃんのメイク落とし。

響くのは笑い声で…。

笑顔に蟠りは、もうなかった−…。
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