ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*

恋花火。

♪苺side♪


セミの鳴き声が、よく響く教室。

窓から見える空は、どこまでも青くて…外に出たらきっと、焼けるような日差し。


「じゃあ津田さんは、そういう方向で行きましょう」
「お願いします」

先生に深々と、頭を下げるお母さん。あたしも1テンポ遅れて、頭を下げた。

夏休みに入る前、進路の為の三者懇談。

あたしは、地元の女子短大を希望した。
頭があまり良くないあたし…かと言って、まだ“働く”って、意識もなくて。

「こらっ」

教室を出て、すぐに携帯を開こうとしたあたしを、お母さんが叱る。

「頑張るんじゃなかったの?」

どうやら、成績がお気に召さなかったらしい。

頑張ったんだけど…。
心の中で思いながらも、口に出した言葉は、「ごめんなさい」
反論は、しないことにした。

「まぁ、少し上がってるから…」
そう、数学が2から3に上がったのは、大きな進歩。

「また上がるようにね?もう下げちゃダメよ?」
「はーいっ」

お母さんは、少し不安そうに言った。

そんな、レベルが高い大学に行くわけじゃないんだから…って思うけど、親としてはやはり心配なのだろう。

とりあえず、成績落とさないようにしなくちゃ。
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