ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「あたしも早く結婚したいなぁ…」
明人さんの後ろ姿を見ながら、麗奈が呟く。
「いい人とか居ねぇの?」
「ぜーんぜん。忙しくて、それどころじゃなかったよ」
「ふーん」
「もう、相変わらず、興味なさそうにするんだからっ!」
言いながらも、麗奈は笑って、
「裕ちゃんこそ、苺ちゃんとはどうなの?」
「え…あ…」
突然の質問に、恥ずかしさのせいか戸惑う。
「何赤くなってるの!あーあ、裕ちゃんも幸せかぁ…」
「赤くなってねぇよ!」
慣れてないせいか、やっぱりこういう質問は苦手だ。
「裕ちゃんを、ここまで落とす苺ちゃんは、なかなかのつわものね♪」
「…馬鹿」
「ふふっ♪あたしも裕ちゃんに、負けないようにしなくちゃ」
「何を?」
「結婚!絶対、裕ちゃんより先にするんだから」
俺はただ笑った。
麗奈と話すのは、何だか落ち着く。
これは、ずっと変わらない。
「裕也!麗奈ちゃん!」
離れた所から、母さんが手招きして呼んでいる。
俺と麗奈は、顔を見合わせる。
思ったことは、どうやら同じようだ。
子供の頃、二人で遊んでいると、母さんがこうやって迎えに来たっけ。
そんなことを思い出しながら、歩き出した。