ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
♪苺side♪


「行ってきます」

あたしはイチゴの葉を、ちょこんと指で撫でた。

あたしの部屋の窓際に置いてある、イチゴの鉢植え。

このイチゴは、あたしの名前の由来となったイチゴから、ずっと育ってきたもの−…。

知ってた?イチゴって、種から育つわけじゃないんだよ。
実をつけ終えたら、ランナーっていう茎を伸ばして、小株をつくるの。


イチゴは前へ前へと延びて、
進んでいく−…。


「って、早く行かなきゃ!」

あたしは急いで、部屋を出た。

階段が降りにくいのは、いつもと違う服装のせい。

2年ぶりに袖を通した浴衣に、お団子にまとめた髪…。

ワクワク、ドキドキするのは、

今日が夏祭りだから−…。



「苺っ♪」

待ち合わせ場所。
一番だったのは、由紀ちゃん。

「あれ、川原くんは?」
「もう少ししたら来るって」
「一緒じゃなかったんだ?」
「うん。苺も王子と一緒じゃなかったの?」
「あ…裕くん、少し遅くなるかもって…」

メールが来ていたのを思い出す。

「じゃあ、後はメグと…」
「苺ちーん♪由紀ちーん♪」

言ってる側から、メグちゃんの声が聞こえた。
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