ちっちゃな彼女。*30センチ差のいちごな初恋*
「苺ちんは、メグと西藤くんのなんだからねぇ?」
「裕也は合ってても、お前のじゃねーだろっ!」
「メグのなのぉ!ね、苺ちん♪」
「うんっ」
同意を求められると、ついつい頷いてしまう。
「ってか、あっち行こうよぉ?」
見ると、由紀ちゃんと川原くんがこっちを見て、手を振ってた。
「そーだなっ」
「あっ…」
結城くんは歩き出してしまって、結局何のことなのか、聞けなかった。
ううん、聞こうと思えば追いかけて聞けたのに、それをしなかったのは…
嫌な…予感がしたからかもしれない。
「苺ちんも行こぉ♪」
メグちゃんに手を引っ張られて、再びみんなの中に加わるけど…
由紀ちゃんと川原くん。
メグちゃんと結城くん。
あたしは…少しお邪魔虫だね。
ゆっくりと足を止めた。
そのまま、4人の姿は人波の中に溶けて、見えなくなる…。
はぐれちゃった。
それは、一昨年と同じ光景。
沢山の人の中に、埋もれる小さなあたし。
とても賑やかなはずなのに、何も聞こえないような気がする。
でも、自分からはぐれたからか、一昨年とは違って、恐怖感はない。
その代わりに広がるのは、
静かな寂しさ−…。
「裕くん…」
ポツリ呟いた。
それは誰にも聞こえないくらい、小さな声だった…はずなのに、
「苺?」